ASD(自閉症スペクトラム)

ASDって?

 

「自閉スペクトラム症(ASD)」は、コミュニケーション・対人関係の困難とともに、強いこだわり・限られた興味を持つという特徴がある発達障害です。「スペクトラム」とは、「連続している」という意味で、ASDには、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群などが含まれます。

ASDは、注意欠如・多動症(ADHD)と同じく、子どもの頃から症状が現れるものですが、大人になってから診断を受けるというケースが増えています。子どもの頃から症状があっても、それが大きな不適応に至らず、知的能力も平均以上の場合は、社会人になってから社会生活や人間関係における困難に気づくことがあります。近年、ASDの診断は子どもより大人になってから受けるケースが多くなっています。

特性

自閉スペクトラム症の人たちに共通する特性は対人関係を調整することの難しさとこだわりの強さです。それぞれの特性の強さや現れ方は子どもによって違いがあり、ある特性が特に強い場合や、成長に従って特性が変化することもありますが、先天的なものですので、特性を完全になくすことは困難です。

●対人関係を調整することの難しさ
人に対する関心が弱く、他人との関わり方やコミュニケーションの取り方に独特のスタイルがみられます。相手の気持ちや状況といったあいまいなことを理解するのが苦手で、事実や理屈に基づいた行動をとる傾向にあり、臨機応変な対人関係を築くことが難しく誤解されてしまいがちです。対人関係でのこのような特徴的な行動は幼少期からみられ、年齢とともに現れ方が変化します。

●こだわりの強さ
幼少期から特定のものごとやルールに強いこだわりを示し、好き嫌いが極端です。自分の関心ややり方、ペースを維持することを最優先したいという志向が強くみられます。また、一部分への興味や関心が強くなり、その領域では良い結果が出やすくなる一方で、そうでない領域は苦手になりやすいことが知られています。

●その他の特性
すべての子どもに当てはまるわけではありませんが、自閉スペクトラム症の子どもの中には、周囲が気にしないようなちょっとした物音に過敏に反応する、寒い日に薄着をしても気にならないといった感覚のかたよりや、体の動かし方が不器用で、運動がぎこちなく苦手など、ほかにもさまざまな特性がみられる場合があります。

療育方法

自閉スペクトラム症の子どもは、自分の得意なこと(できること)と苦手なこと(できないこと)がはっきりしています。得意なことを伸ばし、苦手なことは他の人に手伝ってもらいながら社会生活に必要な力を育むためのスキルをバランスよく身につけることが大切です。
●自己分析力
自分の得意なこと・苦手なことを理解する力です。自分自身の事を理解する事は、心と身体の成長期には非常に重要な力になります。

●自活力
できることを着実にこなすスキルです。苦手なことに対しては無理をさせず、本人が「できない」と伝えられるようにします。成功体験を積み重ねていくことで自信と自己肯定感を育むことにつながります。

●ソーシャルスキル
わからないことやできないことは人に聞いたり、手伝ってもらったり、自分にできるやり方で人に相談するスキルと、社会のルールを順守するスキルです。自閉スペクトラム症の子どもは臨機応変に対応したり、空気を読んだりすることは苦手ですが、具体的に示されて納得できたルールや決まりごとを守ることは得意です。 具体的な方法として、ソーシャルスキルトレーニング(SST)というプログラムを通じて支援をしていきます。
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